南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

伝説の滝 立根のお滝様

tkno1.jpg
大船渡市の滝                      夕陽に染まる毛無森 この山を越えると五葉山


 いやあ、驚いた。
 まさか伝説の滝が実在するなんて。
 大船渡隊員も小隊長も口あんぐりでした。

 遡ること数日前。
 大船渡のニーハオ隊員から興味深い話が持ち込まれました。

 その昔。 
 現在でいう岩手県大船渡市立根(たっこん)の山里に、「静」という屋号の家があったんだとさ。
 近くには毛無森という山から流れ出る川があったんだとさ。
 ある日、静の女房が洗濯をしようと川へ行ってみると、なんと、川の色が真っ赤っ赤。
 こんな川では洗濯ができないと家に戻ったものの、次の日もそのまた次の日も沢は赤く染まっています。
 いったい何事が起ったのだろうと不審に思った女房は、川をえっちらおっちら山奥まで遡っていきました。
 すると大きな滝があり、その滝壷に大蛇が死んでいたそうな。
 大蛇は水の神であります。
 そのままにしておいたのでは、雨が降らずやがて百姓が泣く事態になりかねない。
 危惧した女房は、僧を呼んで祈祷してもらい、滝のそばに祠を建てお滝様として祀ることにしました。
 おかげで以後雨の心配をすることはなくなったそうな。 ドントハレ。

 おおよそこのような話。 「遠野物語」 の大船渡版といったところ。
 
 「どうだ、気になるべ?」
 「鼻がピクピクする話だなや。 でも昔話っつうか、おとぎ話だっちゃ。」
 「大船渡市役所が出した民俗に関する書物に載ってるんだ。 ストーリーは夢物語としても、滝はあるかもしんねえ。」

 毛無森を水源とする沢にはこれまで何本か入ったことがあります。
 滝はあるにはありますが、どれも大滝とは程遠い規模ばかり。
 ただ 完全攻略したわけでなく、いくつか残っている沢もあります。
 もしかすると未踏の沢に大滝が隠れているのかも・・・と思ったものの、♪ 坊や~、よい子だ、ねんねしな、の世界で、とても現実にあるとは思えない。
 でも滝屋としては、伝説が伝説で終わっているのか、それともなにがしかの根拠があってそのような話が残っているのか、聞きっ放しではケツがムズムズしておさまりがつかない気分。
 そんなこんなで、とにかく無ければ無いでそれなりに納得するから、騙されたと思って行ってみよう、ということになりました。
 おとぎ話とも真実ともつかない話を実証しようとするアホバカは、我々以外に誰がいますか。 
 そこで南三陸滝見隊の出番です。

 ヒントは、毛無森 と 祠 です。
 場所は、立根町にある、何本かの沢。
 いずれも毛無森を水源とする沢です。
 滝のそばにあるという祠は、話が本当なら現在まであるのかどうか。
 木造ならとっくに朽ち果てているだろうし、石で造られたものであっても洪水で流されているかも。
 荒唐無稽な話なら、はじめっから滝や祠など無いわけで。

 突撃するに際して不安もありました。
 平地には雪がまったくないものの、山に入ったらあるのではなかろうか。
 そしてそれより心配だったのが、ロケーションの問題。
 候補になった1本の沢の上流には、大規模な養鶏場があったのです。
 そういったところは、防疫のために一般人の立ち入りを禁止している施設がほとんど。
 施設のど真ん中を突っ切るように沢が流れているから、はたして一般人の我々は通行可能なのか。
 ましてやまともな人間とは思えぬ格好をしている我々。
 2人とも黒い目出し帽だから、ヘタすりゃISのテロリストに間違われかねません。(まさか)
 悩んでいてもらちがあかないので、とにかく突撃開始。
 
 安心してください。山に雪はほとんどありませんでしたよ。
 陰になった部分には多少積雪はあるものの、まったく無問題。
 バイクでグリグリ登って行きました。
 
 最も有望視していた、養鶏場を横切る沢は、施設から離れた場所を迂回して入渓することができました。
 が、これといった滝はなく、期待外れのままあえなくUターン。
 
 2本目、三陸町に至る旧街道の山道に沿った沢は、登るにつれ水流が細くなり、やがて消失。
 寒さで厚着しているため、山を歩くと疲労が増します。
 
 で、時間も少なくなって来たし、期待も薄らいで来たので、次の沢で諦めようと入った3本目。
 沢に沿った林道は、急角度のうえに悪路。
 大雨の痕跡が残り、あちこちガッタガタ。
 ジムニータイプの4WDなら何とかなりそうだけど、普通車ならズルズル後退するか、底を打つか、転落するかってひどい道。
 我々のバイクもタイヤが空転して進めなくなり、途中から放棄。 徒歩でゼーゼーハーハー急坂を登っていきました。

 この沢も徒労に終わるかと半ば諦めかけていたら、何と、これが大ホームランであります。 
 ゴールキーパーがボールをはじき返そうと蹴ったら、相手ゴールにそのまま転がり込んだような。
 こんなこともあるんだなあ。

 tkno2.jpg

 「あったど~~~っ!」 と大喝采。 ほんとにあったとは信じられない思い。

tkno3.jpg

 大蛇が死んでいたという伝説の滝壷もありました。
 土砂が流れ込んで狭くなっていましたが、かつては深々と広い滝壷であったのは確実。

tkno4.jpg

 落差5mほどの誰もが認める滝らしい滝。
 もちろん水質上等です。

 違う角度からもっと撮影しようと、滝壷沿いに回り込むと、

tkno5.jpg

 なんだなんだ? 上にも滝があるやんか!

tkno6.jpg

 うおおおおっ! ホントかよ!! スンゲェ!!!
 とんでもない滝が流れていました。
 展開の意外さに唖然とする2人。

tkno7.jpg

 五月雨式に流れる大滝です。
 まさかこんなところにこんなデカい滝があるなんて誰が想像するでしょうか。

tkno8.jpg
 上段の滝

tkno9.jpg
 中段の滝。

tkno10.jpg
 上段と中段の流れ。

 画像で見るより全然デカい。 存在感十分。 そして迫力あり。
 つまり、この滝は3段構造の大滝だったのです。
 小沢なので水量不足はいたしかたなし。

 ほぼこの滝が 立根のお滝様 であるのは間違いないなさそう。
 これだけの規模の滝は南三陸ではそうそうありません。
 もし仮に、近くに祠があったとすれば、伝説通りの滝が実在したということになるわけですが、

 安心してください、ありましたよ!

tkno11.jpg

 滝の横の岩盤の下に、ちゃんと話の通り祠がありました。
 マジすか? と言いたくなります。
 これで 立根のお滝様 は確定といっていいでしょう。

 年初からものすごい滝の発見です。
 WEB初登場で、もちろん2016年度滝見隊大賞の最有力候補。

 半信半疑というより、完全におとぎ話と思っていた滝は実際にこの世に存在しました。
 大げさにいえば、鬼ヶ島を現実に探し当てたような気分。
 快感が体内に湧きあがります。 たまりまへんなあ。 滝屋冥利につきます。
 人にアホバカ呼ばわりされようと、こんなことがあるから滝探しは止められない。
 大船渡市役所に報告したろか。 (しません、しません。 勝手に探しなはれ。)

 印象度は  で決まり。


              岩手県大船渡市立根町      不明沢 → 立根川 → 盛川 → 大船渡湾





 
スポンサーサイト
  1. 2016/01/16(土) 20:32:21|
  2. 大船渡市の滝

自己紹介

小隊長

Author:小隊長

遠くの有名滝より近くの無名滝。 隠れた素晴らしい滝を探すのが楽しみ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事

カテゴリ

はじめに (1)
道草・寄り道・油売り (153)
巨樹・古木 (75)
野の花々 (38)
八幡平市の滝 (1)
普代村の滝 (1)
田野畑村の滝 (1)
岩泉の滝 (1)
宮古市内の滝 (10)
宮古市田老地区の滝 (2)
宮古市新里地区の滝 (9)
宮古市川井地区の滝 (23)
花巻市の滝 (8)
花巻市大迫地区の滝 (10)
花巻市 東和町の滝 (5)
北上市の滝 (2)
金ヶ崎町の滝 (1)
奥州市衣川地区の滝 (16)
奥州市水沢地区の滝 (3)
奥州市江刺区の滝 (7)
奥州市胆沢区の滝 (7)
平泉町の滝 (5)
一関市の滝 (24)
一関市花泉地区の滝 (1)
一関市東山地区の滝 (6)
一関市川崎町の滝 (6)
一関市大東町の滝 (22)
一関市藤沢町の滝 (2)
一関市室根地区の滝 (4)
山田町の滝 (15)
遠野市の滝 (72)
遠野市宮守地区の滝 (7)
大槌町の滝 (40)
釜石市の滝 (83)
住田町の滝 (104)
大船渡市の滝 (92)
大船渡市三陸町の滝 (62)
陸前高田市の滝 (124)
気仙沼市の滝 (26)
南三陸町の滝 (15)
女川町の滝 (1)
石巻市の滝 (17)
登米市の滝 (9)
栗原市の滝 (14)
大崎市の滝 (7)
加美町の滝 (1)
色麻町の滝 (1)
東松島市の滝 (1)
秋田県 東成瀬村の滝 (3)
秋田県 湯沢市の滝 (3)

ご来場者数

リンク

このブログをリンクに追加する