南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

船越半島の海岸瀑

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 山田町の滝                           船越半島ではまだ紅葉が。


 今回は三陸海岸のスペシャルな滝を紹介します。

 岩手県山田町の滝といえば、滝好きな方なら 多久里滝 とか 白糸ノ滝 を思い浮かべるはず。
 しかしそんな滝をちっけえちっけえと鼻で笑うような滝が 同じ山田町内にあることをご存じでしたか?

 小隊長は今年前半までまったく知りませんでした。
 気仙沼隊員から連絡があり、ネットの船越半島を回るカヤックの動画を見てびっくり。
 そこに断崖から海へ流れ落ちる滝が映っていたのです。
 これはぜひ行ってみなければ、と思ったものの、時期的には草木が繁茂している頃。
 そこで葉が落ちるまで遠征を控えていたのでした。

 落葉期から初雪までが滝探しのゴールデンシーズン。
 行きたいところばっかり多くなるのに、時間がないし、メンバーが揃わないことが重なって、現在まで延び延びになってしまいました。

 船越半島に入ったのは大震災より相当前。 滝探しを始める以前に山登りで1度あるだけです。
 道路網がなく、滝探しにはおっくうな場所なので、半島入口の陸橋がなんとなく 遠過ぎる橋 に思えていました。

 問題は、滝の場所が何処だか特定できなかったことです。
 あれこれほじくってみたところ、船越半島には海岸から流れ落ちる滝が何か所かあるようでした。
 中には、70mもの落差がある滝の画像も発見しましたが、水量が足らず、冬だけ氷瀑になるようです。
 たろし滝ものけぞるような氷瀑を見てみたいけれども、厳寒期では無理な話。
 大雨の後、一時的に滝ができるものは、我々が探しても無駄骨になりかねません。
 そんな時間も気力・体力もポンコツ滝見隊にはないわけで。
 地図をにらみ、いろいろ情報をあさり、頭をひねって導き出した候補が、半島を流れる4本の沢。
 候補の沢に望んでいる滝があればいいのだが・・・。
 こうした推理は、悩み半分、楽しさ半分といったところ。
 
 船越半島には岬を巡る周回道路がありません。
 滝を探すとなると道をはずれヤブコギ必須です。
 はたして1日で回れるか、といえばそれは絶対無理だろうし、滝を探し当てたとしても、海岸瀑なので正面から撮影できるわけもない。
 もし船でもあったら、半島を回るだけでたちまち見つけられるのに。
 とにかく、当るも八卦、当らぬも八卦、なるようにしかならんばいと山田町に向かいました。

 今回の参加者は3名。 欠席の釣り師は釣りにおでかけ。
 「磯釣りできっから、来たらいいんじゃねーの?」
 「滝探しすんのに、そんな時間ねえって、知ってて言ってんだべ。」
 「まずな。」

 道中、滝見隊恒例のちょっとしたトラブルなどありましたが、きりがないので省略。
 とっとと滝にまいります。

 大本命にしていた1本目の沢は大外れ。
 沢に沿って海岸まで下りていったところ、水量が足らず、傾斜もなくダラダラ海に流れ下っていました。
 がっくりして、200m上の道路まで藪の中を這い上がって戻るハメに。
 「あ~、やだやだ。やってらんねえ。今度無かったら、俺帰っかんな。」 と汗まみれのニーハオ。
 小隊長だってそう思っているんだけど、引率して来ている以上、そうもいえないし。

 2本目の沢。 太平洋に向かって開いた場所。
 ヤブコギしながら斜面を下っていくと、突然沢が消失。

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 手前が上流側。 穴のあいた岩盤は対岸です。 境目分かりますかね?

 「やりぃ~~!」 滝です。

 下まで何十mあるか分からず、落ち口に近付くのは非常に危険。
 そこで気仙沼隊員の出番。 落ち口まで行って、撮影してもらうことに。
 隊ではもっとも身が軽く、頭も軽い。 おっと、これは言い過ぎ。
 ハーネスに2本のザイルを固定し、手元のニーハオ隊員と小隊長がそれぞれ松の木に巻いたザイルで動きを調節することにしました。
 ところが気仙沼隊員が動きません。
 「なんで動かねえんだよ。恐いのか?」 とニーハオ。
 「バカか。 あんたがザイル緩めねえから動けねえんだっちゃ。」 と滝バカ。
 「おめえが動かねえから、緩められねんだよ。 バカ。」
 「人をバカ呼ばわりすんな、バカ。」
 「バカとはなんだ、このバカ。」
 危険な作業であるにかかわらず、このザマ。 大の大人が何なんだろうなあ、滝見隊。

 ようやく撮ってもらったのがこの画像。

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 ひえぇぇl! おぞけを震う高さ。

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 すげえ。 すげえんだけど、よく分からん。
 滝の落ち口から撮影したのではこれが限界。
 これ以上の降下はあまりに危険過ぎて、させる訳にはいきません。
 しかし少なくともダイレクトに海に落下している滝であることははっきりしました。

 当初、小隊長は、太平洋に開けた断崖から落下している滝なんじゃないか、と想像していたのですが、実際は違いました。

ffcv6.jpg

 幅50mくらいの細長い入江の奥にある滝だったのです。 これが対岸部。 左が太平洋です。
 
 ということは、対岸に回り込めば正面から滝をとらえることができるはず。
 そう誰もが考えると思いますが、現実にそれをやるとなると大問題。
 細長い入江がそのまま山に切れ込んでいるために、深い谷を形成しています。
 入江沿いに回れれば最短距離で行けますが、断崖に取り囲まれているので100%無理。
 となると、いったん尾根まで登って、対岸にある枝尾根の急斜面を降りて来なければなりません。
 すでに1本こなしているのでかなりきつい作業。
 道があるわけでなし、完全なヤブコギになります。
 疲労困憊するのは目に見えてるし、イバラがやたら多いし、転落したら海まで止まりそうになく、できればやりたくねえ。

 でもここまで来た以上、滝を正面から見たいという気持ちが勝りました。
 目の前に見える対岸に行きつくまで50分以上の高巻き。 青息吐息。

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ffcv8.jpg

 出たあああ! 
 これぞ船越半島の幻といわれた海岸瀑の勇姿です。
 海から見上げた映像はすでにWEB上にありますが、陸地から撮影したのはこれが初めてでは。

 落差20m以上。 30mといわれても疑わない。実際どれくらいあるのか判断できません。
 大潮の干満では上下6mもの差が生じます。
 直瀑の美しい滝です。
 上流、人工物一切無く、クリアな美味しい水が流れています。

 岩手県で海岸瀑といえば、普代村の黒崎にある150mもの落差がある アンモ浦の滝 が超有名。
 南三陸でも、二ツ水の滝 とか 烏頭ノ滝 とかデカい海岸瀑がいくつかあります。
 しかし厳密にいえば、これらの滝は常時海にダイレクトに落ち込んでいるわけではありません。
 平時の満潮時や大潮の満潮時のみ、直下が海になります。

 それに対して、この滝は正真正銘 常に海にダイレクトで注ぎこむ海岸瀑。
 直下の水深が半端ではないからそれと判断できます。
 こんな滝はめったにありません。 小隊長は初めて見ました。

 滝からズームアウトすると、

ffcv9.jpg

 こんな光景。
 滝の右側に洞窟が見えます。

ffcv10.jpg

 よーく見ると、

ffcv11.jpg

 行き止まりではなく、奥に出口が見えます。
 トンネルになっているんですね。
 そういえば、カヤックの動画でこのトンネルをくぐっているのを見たっけ。

ffcv12.jpg

 滝には名前がないようです。
 できたら 金剛の滝 とでも付けてほしいですが、名所の 赤平金剛 は遠すぎるか?
 (次回、赤平金剛 はチラッと出てきます。)

 印象度は問答無用の  

 海から船で来れば誰でも見れるのに、秘境の秘といった表現がぴったりな すばらしい滝でした。
 滝探ししてきてえがったえがったと幸せを感じさせてくれる滝でもありました。


           岩手県山田町 船越半島        不明沢 → 太平洋



 
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  1. 2015/11/23(月) 20:00:00|
  2. 山田町の滝

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Author:小隊長

遠くの有名滝より近くの無名滝。 隠れた素晴らしい滝を探すのが楽しみ

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