南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

細ツル沢の大滝

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 奥州市胆沢区の滝


 すごい滝を紹介します。
 細ツル沢の大滝です。 ほんとは 巨滝 と書きたいくらい。

 滝見隊では今年後半 守備範囲外にもかかわらず集中して出かけたゾーンがあります。
 岩手県奥州市を流れる胆沢川上流です。
 我々は特別クライミングの専門知識があるわけではありません。
 だから技術的に困難な同じゾーンにある焼石岳中腹の尿前沢系の滝の巣を攻めるつもりはまったくありません。
 そこを流れる滝の数々を見てみたいという願望はありますが、あまりに峻嶮で もし安易に登攀したら大事故につながりかねないからです。 
 触らぬ神にたたりなし。 我々にとってはアンタッチャブルゾーン。
 人様が撮って来た滝画像を悔し涙まじりに眺めるのが関の山。

 滝見隊がねらったのは、同じ胆沢川上流でも、岩手県奥州市から秋田県東成瀬村を結ぶ国道397号線の橋から下にある滝々。
 地図には3つの沢に4つの滝マークがあり、これまで小岩沢の2つと上倉沢の1つ、計3つの滝を見ることができました。
 残ったのが、細ツル沢下流部にある滝です。
 今年の冬は真近に迫っており 行くのなら早くしないと来年まで持ち越しになってしまう。
 何とか年内に胆沢川上流シリーズを終わらせたいという思惑があって、決行することにしました。

 現地に到着してびっくり。
 みぞれ模様の小雨が降っており、しかも強風が吹き荒れていました。
 「くっそ~。 なんでここ来るといつもこうなんだよ。」 と滝バカ。 皆も同じ思い。
 小岩沢を攻めた時の悪夢がよみがえります。
 しばし車の中で行こか戻ろか逡巡したものの、この機会を逃せば来年までチャンスがなさそうなので決行することに。

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 焼石岳方向はすでに積雪が見えます。
 高所だけならまだしも、

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 道路の隅っこにも雪。 マジすか? は、早すぎる!
 さすがに道路上では、みぞれが落ちた瞬間 溶けていますが。

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 細ツル沢に架かる小岩橋から下流を眺めた画。
 ここからでは滝の気配はまったく感じられません。
 ちなみに、小岩橋は細ツル沢に架かり、小岩沢には大岩橋が架かっています。 なんでや?
 では、大岩沢には何という橋が架けられているのか? 残念ながら確認せず。
 まさか 細ツル橋 なんてことはないよな。

 さて、ここからいざ突撃、となったわけでありますが、小隊長、コースの選定を誤ってしまいました。
 地形図を眺めて、沢の左岸下流からならコンターラインも広いし、ヤブコギするにしても割と楽に降下できるのではないかと浅はかに推定していました。
 実際、左岸から降りていくと、はじめは傾斜も大したことなく、これなら、と考えた矢先、突然の断崖。
 下まで数十mはあります。ぞっとする高さ。 滝音はするものの、まったく姿を拝むことができません。
 ここを降りろったって、死んでも嫌です。
 で、今度は上流方向へトラバースし、川を渡り、右岸から上がろうとしました。
 ところがこちらでも崖に阻まれ、尾根に登ることができなくなったのです。 
 そこで 車をデポした地点まで登り直しました。0地点まで逆戻り。ガックリ。
 えらい徒労です。大誤算。 今日1日分のエネルギーの半分くらいはこれだけで消費してしまいました。
 「隊長のルート選択の勘ってやつはどこいったんだべなあ。」 と隊員からイヤミ。
 小岩橋を渡って、対岸の尾根をいったん登り、枝尾根伝いに下って行く作戦に変更。

 枝尾根によじ登ってみると、強風にさらされ、近くの木にしがみついていないと飛ばされそうになります。
 それでも下がって行くに従って風の勢いは序々に弱まりました。

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 眼下に見える胆沢川。 どこまで下れば滝は見えるのか。
 樹木は毎年の降雪によって押しつぶされ斜めに生えているため、非常に歩きにくい。
 斜面は次第に角度を増し、危ない箇所ではロープを投下。ハーネスで固定しないと危険な状況になりました。
 いい加減慣れてもよさそうなもんだけど、何度やってもロープでの降下は恐ろしい。
 みぞれ交じりの雨に濡れ足場を固定しないと滑ります。 うっかり滑ると 心臓飛び出します。
 滝バカは、尾根の途中で、木の枝に引っかかって危ないし、重いし、どうせまた戻って来るからと、ザックをその場に放置し、下って行きました。
 後でこれが驚くことになろうとは。

 そして姿を現した滝。

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 でけえっ! 想像していたよりずっとデカい。
 30mははるかに超える落差があります。
 正確には分からないので、50mあるといわれても そうかと思って納得してしまうほどの落差。
 検索した限りでは、WEB 初登場。 滝マークはちゃんとありますが名前も分からない大滝です。
 これほどデカい大滝を誰も知らないんでしょうか?

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 唖然呆然。すご過ぎる。
 奥羽山脈の高い山と、広い流域面積、豊富な水量、急峻な谷と、普段北上山地の低山をうろちょろしている我々にとっては想像もできないレベルの大滝です。

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 周囲を探ってみましたが、こちら側も川に下りる手前がスラブ状になっており、降下するのは我々の腕ではまず不可能。
 で、とにかく降りられるだけ降りて、ロープに支えられながらの撮影となりました。
 これだけでも正直生きたここちなしです。

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 すばらしい。すごい。 もうそれだけしか思いつきません。

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 上部を拡大。
 上にも滝が流れています。
 南三陸なら、これだけでも1級品。

 印象度  


 不安定な場所から逃れたくて撮影も早々に切り上げ、尾根まで引き返してみると、滝バカの置いたザックが変です。
 何と、中身が周辺に散乱していました。
 登山道とはまったく関係のない藪の中なんで、人間がやったとは思えない。 何かの動物の仕業しか考えられません。
 となるとすぐに思い浮かぶのは、熊。
 ゾッとして互いに見合す顔と顔。 
 周囲を見渡しても動物の気配はありません。 が、ここで皆が大声を上げ始めました。
 「おめ、中に何を入れてたんだ?」 とニーハオ。
 「疲労回復用に、チョコレートと飴。それとサンドイッチの余ったやつ。」
 「それだ、それ。それ狙って来たんだっちゃ。」
 どうやらザックからロープをひっぱり出した時に、ジッパーを完全に閉めてなかったらしい。
 辺りをよく見ると、チョコレートの箱がボロボロに破られ、銀紙の破片が散らばっていました。
 後で調べたら、一昔前まで秋田マタギがこのあたりまで熊狩りに来ていたらしい。
 熊がいても何の不思議もないところなのです。

 枝尾根の下はほとんど断崖で囲まれているはず。
 となれば、枝尾根の周辺はそれほど歩き回るのに広い範囲ではないので、熊がまだ近くにいる可能性が高い。
 もう帰りは気が気じゃなく ビク付きながら車まで戻って来ました。
 断崖も恐怖だったけど、熊も恐怖。 恐怖の2乗です。
 今思うと、ほんとに熊だったのか、あるいはカラスとかタヌキとかテンだったのか分かりかねますが、それでも食料の入ったザックなどを放置するのは考えものですね。

 
 とりあえず、これで胆沢川上流部の地図にマークされている滝は見ることができました。 シリーズ終了です。
 実際はこの他にも別の滝を2~3本発見しているんですけど、これらも行くのが困難で、もう当分は勘弁してくれといった心境。
 ちょっと我々にとってハードルが高いというか、いつ大怪我しても不思議じゃない場所です。
 滝見隊がこれまで見てきたこの一帯の滝は、どれもこれも目の玉が飛び出し、口あんぐりの大滝ばかり。
 それらはほとんど知られていない(と思われる)すごい滝です。名前さえ分かりません。
 滝探しをしているからこそ見ることができたのであって、こんなことをしていなければ一生知らずにいるんでしょうね。


 ついでながら。
 焼石岳周辺の紅葉はそろそろ終わりかけています。
 山腹の木々はほとんど葉を落としました。
 でも国道沿いはまだまだきれい。

 途中通過した種山では、今が見頃。
 特に住田町側はうっとりするくらい美しいです。
 帰還する車両の中では、感嘆符のオンパレードでした。

 遠野の福泉寺や八幡宮は来週じゃ遅いべな・・・。

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               岩手県奥州市胆沢区       細ツル沢 → 胆沢川 → 北上川


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  1. 2015/10/25(日) 22:23:29|
  2. 奥州市胆沢区の滝

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Author:小隊長

遠くの有名滝より近くの無名滝。 隠れた素晴らしい滝を探すのが楽しみ

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