
奥州市胆沢区の滝 尿前渓谷
プレミアムな滝を紹介します。
本邦初登場かも。 おそらくネットをほじくってもこの滝は出て来ません。
今回、南三陸滝見隊ワースト記録に残りそうな程ひどい滝見行になってしまいました。
目的地は、岩手県奥州市胆沢区にある、胆沢川支流小岩沢です。
岩手県の秋田県境に近い場所。
地図を見ると、小岩沢には、岩手県奥州市と秋田県東成瀬村を結ぶ国道397号線の橋が架けられています。
小岩沢なのに、何故か大岩橋といいます。
その橋から下流部、胆沢川に合流するまでの間に2つの滝マークが載っています。
滝の名前は不明。 画像がないのでどんな滝かも不明。
渓流釣りにしろ沢屋さんにしろ、誰もが上流を目指すから、webには大岩橋から上流の滝はあちこちに載っています。
しかし下流側の滝は彼らにスルーされた格好で、検索したにもかかわらず、滝画像は出てきませんでした。
滝屋とは目的が違うから下流に行かないのは仕様がない。
焼石岳周辺は、まさに滝の巣といえるほど滝が密集した地域。
それを攻略しようにもあまりにも難易度が高く、ベテランの沢屋さんでも滑落して亡くなってしまうほど危険ゾーン。
吃驚するような滝が数々ありそうで見たいのは山々なんですが、とても我々トーシロ軍団の歯の立つ地帯じゃございません。
ただ、国道から下流にある滝なら、我々ウスラバカ隊でもどうにかなるんじゃないのと甘い算段をして出撃しました。
南三陸を出発して、胆沢ダム上流のつぶ沼でいったん休憩するまで、雨が降り出しそうでもどうにか天気はもっていました。
つぶ沼は人気も無くひっそりして、貸し切り状態。


つぶ沼のノハナショウブ。
そろそろ終わりに近付いているようです。
沼は水位が低下気味。

つぶ沼のキャンプ場で見た、熊出没注意看板。
奥州市でははじめて見たかも。 いや、江刺で別なやつ見たな。
過去、クマに襲われそうになった経験を持つ小隊長は、注意看板を見ると気になって仕方ありません。
でも、これってヒグマに見えるんだけど。
大岩橋に到着した頃には、遂に雨が降り始めました。
「大丈夫だべか?」
「何とかなんじゃねーの?」
あとから考えたら、これが、甘~~~い。
不安半分な気持ちで合羽を着込みました。
今日も全員がバイクでの出撃です。
移動中雨に降られても、気温の高い時期なら特に問題にはなりません。
でも滝探しとなると、合羽では暑苦しいし思ったようにはに動けなくなります。
道路上で沢に降りる道をウロウロ探しましたが、ルートが見つかりません。
上流へ向かう入口はぼんやりと踏み跡があるのですが、下流となると皆無。
橋の直下は断崖なので、そのまま降下というわけにもいかず。
周辺背の高い藪が密集して、どこがどこやら。
「そもそもルートなんてないんでないの?」 と隊員。
そうか、それならと、地形も分からんくせに、尾根沿いの藪に突撃開始。
もうそれからが無茶苦茶。
藪が深過ぎて前進するのに青息吐息。
前が見えないため、足を踏み出すのも恐々。
レインギヤは透湿性のない安物だから、すぐに蒸れて汗まみれ。
むしろ無いほうが楽だったんじゃないかと思えるくらい。
藪の中にはウルシの木がいたる所にあって、うっかり触れないし。
雨が強くて、前が見難いし、安易にササヤブに足を乗せると滑りまくり。
木につかまると、大量のしずくが上から降り注ぐし。
足はつんのめるわ、ナップザックは枝にひっかかるわ。
急傾斜で身体を支えられないから足を滑らすたびにハッとします。
これだけでもたくさんなのに、藪蚊とメマトイという小さなハエみたいなのに集中攻撃され、顔面を刺されるわ、目や鼻の穴を狙われるわ、荒い息を吐いている口の中にまで飛びこんで来る始末。
防虫剤を顔に塗ったところで、滴る雨に流されてまったく役に立たず。
崖は素手で降りれるようなレベルではなく、何本もザイルを投下しました。
今回唯一良かったのは、滝までの行程が下りだったため、ザイルをそのままにして置けたこと。
これがなかったら戻りはどうなっていたことか。
滑りまくる岩にビビリながら、ようやっと滝下の沢に降りてきました。
そして出会った滝。

大きくて、端正で、きれいな滝。


印象度




こんなのを南三陸で発見したら大歓声です。
ところがところが。
そのすぐ横に、数倍もあるドデカい滝があったのですよ。

恐ろしいほど深くて広い滝壷。

全体はこうなってました。
つまり、画像左の滝が本流。右は同じ沢の分岐瀑だったんですね。

奥に大滝があるので分岐瀑との比較が出来難いと思いますが、大人と子供、ハンパない大きさ。
超ド級の滝なのに、名前分からん。 無いわけないと思うけど。

ただひたすら「すげえ・・・・」 。 完全に気押されてます。

圧倒されて互いに言葉が出てきません。
全員がアホ顔になって見上げていました。

そのすぐ下流の滝。

これだって、南三陸なら一級品です。

印象度





この角度だと、上流の滝が見えます。
そして、この滝のすぐ下流には、次なる大滝の落ち口がありました。
危険過ぎて、近付けません。 転落して流されたら葬式確定。
中央に円形のホールのようなものが見えます。
滝の水が落下した時に削られたものではないか。
ホールに当って水流が角度を変えているようです。
下へ降りて確認しようと考えたのですが。

下の滝の両岸は断崖。降下は不可能。
見るためには、いったん尾根筋まで這い登り、そこからヤブコギして移動し、再び崖を降りなければなりません。
ヤブコギして移動するところまでは青息吐息でなんとか行きましたが、その先、胆沢川本流が見えたところで断念。
えぐれた馬の背状態の突端部まで来て、藪の先は断崖絶壁。もうどうにもなりません。
足元から先はないし、はるか下に岩と胆沢川の急流が流れ、身体が硬直状態。
こんな時地震が来て崖が崩れたら、滝見隊は終わりだな、と正直思いました。
この間、強い雨はずっと降りっぱなし。
レインギア内部の衣服はとうにずぶ濡れ状態でした。
足元不安定で、とにかく樹木の隙間からでもいいから下の滝を撮って、地面の確かな場所まで戻ることにしました。

それがこれ。 ゆうに30mは越えているんじゃないか。
上の大滝同等、あるいはそれ以上に落差がありそうです。
画像手前の草の先は、えぐれた断崖。うっかり近付けません。
せっかくここまで来たんだからもっとはっきり見たいと思いましたが、我々としてはもうこれが限界。
これ以上先に進んだら、気力・体力・スキルのない我々は誰か死人が出ます。 あ、知力は元々ないですから。
ゾンビのようになって、ヨロヨロと大岩橋のたもとまで戻った滝見隊。
そのままつぶ沼までバイクを走らせ、びしょびしょになった衣服の着替えをしました。
危険から解放された安ど感と、めっちゃすごい大滝を見られた興奮がないまぜになって脱力。
こういった時、普通は馬鹿話をするのですが、今回ばかりは口数少なし。
再び雨の中を南三陸まで帰還の途についたのであります。
小隊長が陸前高田まで戻ってきたら、雨は1滴も降っていませんでした。
滝の印象度は





これしかありません。最高級。
とんでもない目に合わされたけど、おかげでとんでもない滝を見ることができました。
まだ見ぬ下の滝を見たいかといえば、時期やルートを再考したとしても、まだしばらくはその気になれないでしょうね。
岩手県奥州市胆沢区 大岩沢下の滝 小岩沢 → 胆沢川 → 北上川
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- 2015/07/19(日) 19:10:07|
- 奥州市胆沢区の滝
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