南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

すごろくの穴

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    道草・寄り道・油売り                             広田湾 みさご島と野島

 
 「すごろくの穴」
 わざと意味深なタイトルをつけてみました。
 
 岩手県陸前高田市気仙町に、「双六 (すごろく)」 という広田湾に面した地区があります。
 風変わりな名前です。 なんでこんな地名なんですかね?

 ここに広田湾を見渡せる海抜50メートル足らずの小高い丘があります。
 頂上付近と周辺部に僅かばかりの樹木があり、他は草地と畑になっています。
 観光地や公園等とは無縁の場所ですが、小隊長お気に入りの場所で、年に何度か訪れます。
 特に夏。 
 吹き渡る風と、太平洋まで望める見晴らしの良さで、草地に寝転んでいると知らず知らずのうちに気分がほぐれる場所です。

 丘の上には、一本の巨木が立っています。

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 この木がモミかその仲間だろうとは推測していたのですが、最近まで何なのかが分かりませんでした。
 木の下に実がたくさん散乱していたのを拾い上げて、ようやくカヤの木だと分かった次第。

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 とにかく、海を背景にしてすっくと立つその姿が好きでした。

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 カヤの巨木の近くには、天然記念物に指定されてもおかしくないようなヤブツバキの古木もあります。

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 カヤとヤブツバキの根元には石碑が並んでいます。
 墓のようです。
 これらの巨木をよりどころに何百年も前に建てられたようです。
 あるいは墓を建てた時の記念樹として植えられたのか。
 このことが幸いして現在まで巨木が守られる結果に繋がったのですね。


 さて、本題はここからです。

 ご存じかと思いますが、4年近く前、この地を巨大地震と大津波が襲いました。
 東日本大震災です。
 丘の下、堤防や道路、海岸沿いの人家など構造物はほぼ壊滅。
 家を失った人たちは未だに仮設住宅暮らしを余儀なくされています。
 新たに住宅を建てるにしても、津波に襲われた場所に再建することはそれなりの覚悟と危険が伴います。
 かといって他の場所に移住しようにも、当地はリアス式海岸の地形なので山が海岸にまで迫り、まとまって家を建てられるような余分な平地なぞどこにもありません。
 
 そこで目を付けたのが、この丘。
 斜面を削り、新たな住宅地を造り出そうというもの。
 造成が始まったら、あの巨木はどうなってしまうのだろうと、小隊長は内心危惧しました。
 小隊長自身被災者なので、一刻も早く新たな住居を造りたいという願いは痛いほど分かります。
 だから、たとえ巨木が切り倒されようとも、それは仕方のないことだと、半ば諦めていました。
 だいたいこちらは地主でもないし施工者でもなく、一介の傍観者にすぎないわけで、あれこれ言う権利は初めっからないんですけど。
 
 やがて工事が始まりました。
 近くの国道45号線を通る度に、ユンボやダンプカーが動き回るのを見ながら、あのカヤはまだ無事だろうかと気を揉んでいました。

 ところが、昨年3月、造成工事が突然中断されました。
 原因は 穴 です。
 工事中、突然巨大な穴が地面から現れたのです。
 仮に造成を終えたとしても、家の地下に巨大な穴があると知ったら、おちおち安心して寝てられないでしょう。
 このため造成地は別の場所に移すことになり、この場所は放棄されることになりました。

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 現在は人が勝手に入れないようにと、衝立で塞がれています。
 って、これじゃあ侵入しようと思えば簡単に侵入できるんですけど。

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 この穴、直径5m、底までの深さは10mもあるそうです。
 新聞記事によると、底まで降りるとさらに四方に洞窟が延びているのだとか。
 どのくらいの規模なのか、まだ調査されていない模様。
 丘は、全体が石灰岩でできているため、鍾乳洞であるのは確か。
 陸前高田市にとっては予想外の出来事だったかもしれませんが、方針転換を計って新たな観光資源にできるのではないか。
 もしその規模が、住田町の滝観洞、はたまた岩泉の龍泉洞に匹敵するような穴だったら・・・・・。どうするどうする。
 早く誰か全貌を調査してくんねえかなあ。

 といったわけで、小隊長が気を揉んだカヤの巨木は伐り倒されることもなく、現在も海を眺め続けています。

                                     岩手県陸前高田市気仙町  双六



  
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  1. 2015/01/12(月) 21:04:15|
  2. 陸前高田市の滝

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Author:小隊長

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