南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

尾崎山神社の海岸瀑

                                       大船渡市三陸町の滝


 「てえへんだ、てえへんだ!親分、てえへんだあ!」と、朝っぱらから突然の電話。
 会社の同僚たちと船釣りをしていた同郷の釣り師隊員からでした。
 「どした?海に転落したか?万一死んだら、葬式には出てやっから安心しろ。」
 「違うって。海から滝が見えるっつーの!」
 「なぁにいっ!!よし、今行く。すぐ行く。急いで行くからそこで待ってろ!」
 「隊長、アホちゃいますか? ここ海の上でっせ。」

 その日の夕方、釣った魚をぶらさげて釣り師が我が家にやってきました。
 話を聞くと、滝は海岸線の断崖から流れ落ちているらしい。
 今の時期は雨量が少ないため大雨の後だけ現れる海岸瀑ではなく、常時流れている滝であるのは確実です。
 場所は岩手県大船渡市三陸町の綾里崎。
 人のまったくいない半島です。

 海から見たのでは滝のあるポイントがおおよそしか分からないので、地形図を見ながらどこだろうとあれこれ推理しました。

 三陸海岸の特徴はリアス式だということ。
 ギザギザに切り立った断崖が延々と続いています。
 山がそのまま海になだれ込んでいるため、遠くの海岸へ行くには山をいくつか越えねばならないというヘンテコなことになります。

ojj09.jpg

 綾里崎もその典型で、平地がまったくありません。
 断崖を降りるようなことになれば一筋縄ではいかないので二筋のザイルを用意しました。
 海岸瀑では、満潮になると断崖まで波が打ち寄せ、正面から写真が撮れなくなる恐れがあります。
 そこであらかじめ干潮の時間帯がちょうどよい日をを選んで出陣しました。
 今回は、情報元の釣り師隊員と地元のニーハオ隊員、そして小隊長の3人編成です。

 綾里崎へ到着し、最初に狙った沢はほとんど水がなくあえなく撤退。
 2番目に行った沢が正解でした。

ojj01.jpg

 滝への入口。本当は尾崎山神社入り口です。滝のことなどどこにも記されていません。
 通常寺社の参道は上り坂になっていますが、ここは海へ向かって下りて行きます。

ojj02.jpg

 鳥居まで来るとやや広い場所があり、そこにバイクを停めました。
 鳥居をくぐってなお下りて行くと、

ojj03.jpg

 分かりにくいかと思いますが、道が二手に分かれます。
 右は神社に向かう上り坂。
 奥にチラッと社が見えてます。家内安全・大漁祈願の神社らしい。
 下りは杉林の中に消えています。岩の裏側に小さな沢があります。
 バチ当たりな我々は、神社に背を向けて杉林の中へ。
 途中から道が消えているので、沢伝いに下りることにしました。
 
 次第に藪が深くなって来ます。
 杉林をはずれると、樹木の間に丈の高い笹がびっしり生い茂り、全然前が見えないようになりました。
 どこが断崖の先端なのか分からないので、足元に細心の注意をはらいながらかき分けて進みました。
 
 すると滝の落下音が聞こえてきました。
 前が開け、海が見えます。
 滝は落ち口があるだけで、全体像はまるで見えません。

 あまり前に出ると転落の危険があります。
 滝から少し離れた太い木にザイルを固定し慎重に降下しました。
 今回は危険度が高く、全員ヘルメット・ハーネス・アッセンダー等を装着しての突撃です。
 小隊長は体重があり、崖の昇降は苦手。
 毎回ザイルに吊られながら、俺は何をやっているんだろうと思います。
 とにかくどうにか無事で海岸へ降下することができました。

ojj04.jpg

 これが綾里崎の海岸瀑です。
 1枚岩を2段になって流れ落ちています。
 適当な滝名が思い浮かばないので 尾崎山神社の海岸瀑 とそのまま呼ぶことにしました。

ojj05.jpg

 上段の滝。
 水量は少ないです。
 雨が降っていないし、短い沢ですから仕方ありません。

ojj06.jpg

 下段の滝。

 高い滝です。
 でも水量が少ないため迫力は感じません。

ojj07.jpg

 滝の目の前の海岸。
 満潮になれば滝下まで波が来るはずです。

ojj08.jpg

 帰りに断崖を登る途中で撮った滝の全体像。
 目を見張るとまではいえない滝ですが、海岸瀑としてとても貴重な滝です。
 これを船から見ようとすれば実に簡単。
 しかし陸地からだと難易度が高く、おいそれと行けるような場所ではありません。

 印象度  

 大雨の後は三陸沿岸の岩場ではいくつもこんな滝ができるそうです。
 小隊長も碁石海岸沖で幾筋もの滝が断崖から海に落ちているのを目撃したことがあります。
 しかし常時流れている海岸瀑はごくわずか。

 岩手県山田町の船越半島では、半島の先端部分に、常時流れ、しかもダイレクトに海に落下する直瀑の滝があるそうです。でも船で行かなければ見れません。
 岩手県で最も高い滝、 アンモ浦ノ滝 も直接海に落下してはいませんが海岸瀑のひとつですね。

                                         不明沢→綾里湾





 
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  1. 2013/10/01(火) 21:16:19|
  2. 大船渡市三陸町の滝

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Author:小隊長

遠くの有名滝より近くの無名滝。 隠れた素晴らしい滝を探すのが楽しみ

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