南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

削沢の滝 (さくざのたき)

                                           栗原市の滝

 宮城県栗原市にある花山湖から国道398号線を秋田県境に向かっておよそ20km登って行くと、仙台藩花山御番所跡に到着します。
 そこから右折すると、かつてランプの宿として名をはせた湯ノ倉温泉に至る道があります。
 その道は花山三大瀑布といわれた大地滝・白糸ノ滝・削沢の滝へ通じる道でもありました。

 2008年6月、岩手宮城内陸地震により、この道は崩壊し、発生した自然ダムによって湯ノ倉温泉も水没。
 以来、今日までまったく手がつけられないまま放置されてきたのです。
 温泉がなくなったことにより、一帯には誰も住む人がおらず、おそらく道路を復旧することはもうないだろうと思います。
 
 そうなると我々の関心事は、残された三大瀑布がどうなってしまったのか、ということです。
 そのままの姿で残っているのか、はたまた跡形もなく完全崩壊を起こしてしまったのか、あれこれwebを探っても現在の状況がどうなっているのかさっぱり分かりません。

 行こうと思っても、南三陸からでは距離があり過ぎるし、崩壊地を乗り越えながら進むのでは大地滝と白糸ノ滝へはたどり着けない恐れもありました。苦難の行軍が想像できます。
 しかしかつては幻の滝といわれた削沢の滝までなら国道から近いし何とかなるんじゃないの、行けるだけ行ってみようかということで連休を利用して現地までやってまいりました。
 以前にも何度か来たことがあったので、道中何の迷いもなく到着。

 現地に到着してみて、現実は考えたほど甘くはありませんでしたね。
 削沢へ行くにはどうしても一迫川を渡らなければならないのですが、橋は崩壊したまま。
 渡河しようにも水量はハンパでなく、まさしく激流。もう絶対無理です。下から登る計画は早くもとん挫してしまいました。

 下からだめなら上があるさと、今度は国道から回り込み、滝の上部へ。

DSC05650.jpg

 「あったあ!!!」
 しかし、ここをどうやって降りるというのか?
 「ギョエエエエエ!!無理・無理、ぜってえ無理だってば!」
 あまりの急斜面。スラブ状になってベロベロな岩壁で手掛かりになるようなものがありません。
 高さがあり過ぎて一歩踏み外したら確実にあの世行きです。
 滝の両壁は激しく崩壊して、下に巨岩が積み重なっています。
 
 「こりゃあ無理だな。俺達のレベルじゃ危険過ぎる。」と早々に断念することにしました。
 「でもよ、せっかく来て、滝まで見つかったんだぜ。それをおめおめと引き返すのも何だかなあ。」と気仙沼隊員。
 「探したらどっかに何とかなりそうなルートがあるんじゃねーの?」と釣り師。
 「あろうがなかろうが、あんたらにはどうにかなっても、俺にはたぶん無理だ。」とニーハオ。
 「んじゃ、俺が行くから黙って見てろ。」と気仙沼隊員。
 「そういうなら、俺も。」と釣り師。
 「え~っ?じゃ俺も行くかあ。死んだら後を頼むな。」とニーハオ。
 「しょうがねえなあ、そんじゃ俺も。」としぶしぶながら小隊長。
 「どーぞ、どーぞ!」と他の3人。

 冗談はともかく、いったんバイクまで戻り、ヘルメットや登攀用具をかかえて崖の上に立ちました。
 なるだけ樹木が生えていてブッシュの多そうな斜面を選び、連結した80mのザイルを投げて降下開始。
 ハーネスで支えられているので安全は確保していますが、こんなシチュエーションはほとんどないので恐怖感で身体がガチガチでした。
 ほかの3名から比べれば、小隊長ははるかに重い分ザイルへの不安もあります。
 降下するのはいいとして、登るのはどうすんべとチラッと頭によぎりました。

 われらウスラバカ軍団と違って、常識ある皆様にはけっしてこんな真似をしていただきたくないです。
 正真正銘非常に危険なロケーションですから。ミスったら死にますって。
 良い子のみんなも絶対マネしないでね。おじさんたちはスペシャル・アホ集団なんですよ。

DSC05645.jpg

 滝下に降り立った滝見隊各隊員。恐怖感覚めやらぬ小隊長。
 ニーハオも青息吐息。無事に降下できたことが信じられない様子。
 先に降りた2人はなんてことないとニタラニタラ笑っておりました。
 
 遂に震災後初めての削沢の滝を目の当たりにすることができました。
 岩手宮城内陸地震以降では初UPではないでしょうか。

DSC05627.jpg

DSC05635.jpg

DSC05638.jpg

 実測35mの大滝です。すごい。
 しかし周囲の荒廃ぶりもまたすごかった。
 webで見ていた秘境の滝、あの美しい滝の姿はどこにもありません。
 鬱蒼とした森に包まれていた光景はなく、ただ殺伐として無残な姿をさらしているだけでした。
 大崩壊から丸5年、この滝が再び緑に覆われるには、あと何年必要なのでしょうか。

                       
                        削沢(さくざ)の滝   削沢→一迫川→迫川→北上川




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  1. 2013/05/05(日) 23:15:47|
  2. 栗原市の滝
  3. | コメント:0
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