南三陸滝見隊

********** 岩手県沿岸南部から宮城県沿岸北部を中心に、滝を探し回るへっぽこ探検隊の自然派ブログ。 **********

箱滝に箱滝はあるか 完結編

hkhk1.jpg
 奥州市衣川地区の滝


 前回からの続きです。

 厳美渓を後にした滝見隊は、ひと山越えて奥州市衣川区へとやって来ました。
 今回最大のミッション3 「箱滝探しを完遂せよ」 を実行するのが目的。

 もう何年か前のことになります。
 地図を眺めていて、衣川に 箱滝 という地名があるのに気が付きました。
 もしかしたらそこに知られざる滝が存在するんじゃないか。
 そう考えた我々は、「箱滝に箱滝はあるのか?」 と中流域から上流めがけて突撃しました。
 藪だらけの廃道をヒーヒーいいながら探して歩いたんですが、結果は惨敗。
 どこを探してもありません。
 何故だろう、何故ないんだろう、とあれこれ推理しました。
 箱滝というのは単に地名であり本来の滝とは何の関係もない、とか、古くは確かにあったのだけど、崩壊してしまった、とか、
 滝のあった上から堰堤を被せてしまった、とかいくつか滝の無い理由を挙げたのですが、もうひとつ合点がいかないまま撤退してしまいました。
 ここまでが前編。
 詳しくは、当ブログの「奥州市衣川地区の滝」 をご覧ください。
 推理して見知らぬ沢に入るのは滝探しの楽しいところでもあるし、見つからなければ辛いところでもあります。

 そして今回。 再び地図を前にして考えました。
 地図には若干コンターのつまった下流部が載っています。
 まだ我々が入っていないゾーンです。 
 箱滝の実体があるとすれば、未踏のそこにしかないはず。
 実際に行ってみなけりゃいつまでもモヤモヤ感が残ったまま。
 あってもなくてもいいから結論を出さねば気持ちが落ち着かない。。
 てなことがあって、車のナビのおかげで迷うこともなく現地へ到着。
 場所忘れてたので、バイクで行ったら迷っていたかも。

hkhk2.jpg

 入渓地点の富士ヶ森橋。
 道なんかないだろうと考えていたら、左岸に人一人がやっとの道がありました。
 こりゃラッキーとぞろぞろ進んでいくと、なんと100mも行かないうちに堰堤が現れ進行ストップ。
 その先にはさらに巨大な堰堤が立ちはだかっています。
 堰堤と堰堤の間には、両岸が濡れた急角度のゴルジュ帯。そしてダム湖。
 側面をトラバースするのは不可能だし、今の時期泳ぐのはまっぴら御免。
 で、トボトボとUターン。
 橋まで戻った我々は、アホ顔並べて作戦練り直し。

 橋のたもとには、鉄梯子があって尾根に向かって小道がありました。
 送電線の鉄塔の管理道らしい。
 そこで、途中までこの道を登り、適当なところで離れて山の斜面をヤブコギすることに。

 実際その通りにしたんですけど、これがとんでもない難行苦行。
 川岸は断崖になっているのでうっかり近付けません。
 で、山の急斜面を川に沿って横切って行きました。
 樹木の下は密生した笹藪で、イバラはあるは蔦はからむはで、前進するのに青息吐息。
 想像を絶する、とまではいかないものの、予想を越える辛さに泣きが入りました。
 
 進行途中、小隊長は小枝が下まぶたに突き刺さって出血。
 滝バカは手袋を脱いで小休止しているときに滑って、笹を素手でつかんでしまい、手のひらを切ってこれまた出血。
 「足痛いっつーのに、手もかよ。」
 釣り師は「ゆうべ飲み過ぎて、胃液が喉に上がって来る。 吐き気がしてクソ気分悪いんだけど。」状態。
 いちばん心配していたニーハオは 「体温上がるとヤバいんだよなあ。」といいつつ、青ざめた顔面から油汗。
 ワシら、傷病兵か。
 こんなことやってていいんだろうか、この先どこまで進まなきゃなんないんだよ。
 もし滝がなかったらどうすっぺ、日が暮れたらどうなる、戻りの体力考えねえと。などなど不安感がどんどん増してきました。
 だいたい、あるかないか分からない滝を探すんだから、進めば進むほど不安が増すのは当たり前。

 撤退という文字が頭に点滅したその矢先。
 藪の間から白く流れる滝発見。
 藪を下り、崖の上の木にザイルを巻き付け、ようやく川へ降下開始。

hkhk3.jpg

 やったあ。 見つけた。
 いや、ちょっと待て。 これって箱滝か? そんな感じしないんだけどな。
 箱滝って名前があるのなら、それ相応の由来なり形状をしてるんじゃないか?
 この滝悪くないけど、そうした箱滝らしさは感じられない。
 
 すると 「上から滝音がする」 と滝バカ。
 「音からすると、デカい。」
 岩がヌラヌラ滑るので、こんな滝でも上がるのに一苦労。

 ジャブジャブ流れをかき分け上流へ進んでいくと、

hkhk4.jpg

 「あったああああ!」
 箱滝か?
 規模、存在感、特徴ある形状。
 十中八九この滝が 箱滝 で間違いないと思います。
 箱滝は実在する滝でした。
 途中でくっちゃべっていた「高田の滝の里や気仙沼の滝の入と同じで、地名だけなんじゃねーの?」という発言はこっそり撤回します。
 もし 「これは箱滝じゃねえよ」 とおっしゃる方がいらっしゃいましたら、真の画像とともにご一報ください。
 土下座して訂正させていただきます。

 これが箱滝なら奥州市にまたひとつ立派な滝が加わることになります。

hkhk5.jpg

 一枚岩盤を流れ落ちるすばらしい滝です。 規模も十分。
 この滝も、名前はあれど公にならなかった滝。
 WEB初公開です。

hkhk6.jpg

 上流に人家や田畑がないので水質上等、なはずですが、濡れた岩はやたら滑るため、飲めるほど上質な感じはしません。
 もちろんこの前に発見した厳美渓の滝と比べたら、比較にならないほどいい水ですが。

hkhk7.jpg

 中央部の流れだけが2段になっており、小さいながらも深い壷になっています。
 ちょうどそこに箱を据え付けたような形状。
 これが 箱滝 の由来かと思われます。

hkhk8.jpg

 堂々たる滝格。
 雨が少ない時期に関わらず、水量も十分あります。
 これでひと雨あったら、さらに見ごたえあったはず。
 ただし水量が増えるとそれだけ近付くのが困難になるんだけど。

 印象度  

 この滝の上にも小滝が並んでいるのが確認できましたが、さらに登るには気力・体力が欠乏。 さらに時間もない。
 ちょっとした気の緩みで大事になる恐れがあり、余力が残っているうちに引き返すことにしました。

 箱滝がこれまで知られなかったのは、とにかく行く道がまったく無いということに尽きるのでは。
 堂々たる滝なのに周辺藪だらけで容易に見ることができません。
 夏ならさらに困難を極めると思います。
 無鉄砲な奴や、我々のようなウスラバカ揃いでなきゃ、こんなとこ来ないもんなあ。
 
 この日、厳美渓の滝に次いで、知られざる滝をまたまた発見し、気分的には大満足。
 しかし、辛い戻りが待っていました。
 日は陰り、谷は次第に暗さが増してきました。
 焦っても草木が立ちはだかりひっからまって足は前に出ず。
 川沿いに戻ったのでは時間ばかり浪費するので、まずはいったん尾根に出て、そこから下る作戦に切り替えました。
 尾根まで登っても道がなく、送電線の鉄塔をたよりにヤブコギまたヤブコギ。 疲労困憊。
 ようやく管理道までヨロヨロ戻ってきたら、全員草の種をびっしり身にまとわせていました。
 車まで戻ると、互いにひっついた草の種を取りっこ。
 知らない人が見たら 「こいつら猿か」 と思うんじゃないべか。


           岩手県奥州市衣川区     七曲沢川 → 北沢川 → 南股川 → 衣川 → 北上川


 
スポンサーサイト
  1. 2016/12/06(火) 19:14:34|
  2. 奥州市衣川地区の滝

自己紹介

小隊長

Author:小隊長

遠くの有名滝より近くの無名滝。 隠れた素晴らしい滝を探すのが楽しみ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事

カテゴリ

はじめに (1)
道草・寄り道・油売り (153)
巨樹・古木 (75)
野の花々 (38)
八幡平市の滝 (1)
普代村の滝 (1)
田野畑村の滝 (1)
岩泉の滝 (1)
宮古市内の滝 (10)
宮古市田老地区の滝 (2)
宮古市新里地区の滝 (9)
宮古市川井地区の滝 (23)
花巻市の滝 (8)
花巻市大迫地区の滝 (10)
花巻市 東和町の滝 (5)
北上市の滝 (2)
金ヶ崎町の滝 (1)
奥州市衣川地区の滝 (16)
奥州市水沢地区の滝 (3)
奥州市江刺区の滝 (7)
奥州市胆沢区の滝 (7)
平泉町の滝 (5)
一関市の滝 (24)
一関市花泉地区の滝 (1)
一関市東山地区の滝 (6)
一関市川崎町の滝 (6)
一関市大東町の滝 (22)
一関市藤沢町の滝 (2)
一関市室根地区の滝 (4)
山田町の滝 (15)
遠野市の滝 (72)
遠野市宮守地区の滝 (7)
大槌町の滝 (40)
釜石市の滝 (83)
住田町の滝 (104)
大船渡市の滝 (92)
大船渡市三陸町の滝 (62)
陸前高田市の滝 (124)
気仙沼市の滝 (26)
南三陸町の滝 (15)
女川町の滝 (1)
石巻市の滝 (17)
登米市の滝 (9)
栗原市の滝 (14)
大崎市の滝 (7)
加美町の滝 (1)
色麻町の滝 (1)
東松島市の滝 (1)
秋田県 東成瀬村の滝 (3)
秋田県 湯沢市の滝 (3)

ご来場者数

リンク

このブログをリンクに追加する